注文住宅を購入する際は、住宅ローンを組むケースがほとんどです。しかし「住宅ローンを組む流れがわからず不安」という人もいることでしょう。そこで本記事では、住宅ローンを組む場合の流れについて詳しく解説します。また、本審査で必要な書類や注意点もまとめて紹介するので、住宅ローンの利用を検討している人はぜひ参考にしてください。
住宅ローンを組む際の流れ
注文住宅における住宅ローンの手続きは、家づくりの全体計画と密接に関わるため、流れを把握しておくことが極めて重要です。基本的な流れは、以下の通りです。
予算設定
まず、自己資金や毎月の返済可能額などを踏まえて、無理のない予算を設定します。予算は建物の規模や設備グレードに直結するため、慎重な検討が求められます。
設計プランの検討
続いて、予算内で理想の住まいを実現できるよう、家族の希望やライフスタイルを反映した設計プランを検討しましょう。住む人全員にとって大切なことなので、家族全員で話し合いましょう。
土地探し
設計プランが決まったら、建築予定地の土地探しを行います。不動産ポータルサイトでの情報収集と、建築会社のネットワークを活用することで、希望条件に合う土地を効率よく見つけやすくなります。
建築会社の比較・選定
次に、工務店やハウスメーカーなど建築会社を比較・選定します。会社ごとに得意とする構造やデザインが異なるため、理想に合ったパートナーを見極めることがポイントです。
間取り・設計の見積もり
依頼する会社が決まったら、間取りの設計と見積もりを作成します。この段階では仮審査に必要なレベルの設計図で十分です。完璧を求めすぎず、柔軟に進める姿勢が重要です。
仮審査
見積もりが終わったら、住宅ローンの仮審査を受けます。年収や返済能力などをもとに融資可能額が判断されるため、複数の金融機関に申し込むと安心です。
工事請負契約
仮審査に通過したら工事請負契約を締結し、建築計画が本格的にスタートします。
本審査
この後はいよいよ本審査に進み、工事請負契約書や設計図、住民票などの正式な書類を提出します。本審査には時間を要するため、金融機関と建築会社のスケジュール調整が欠かせません。
施工
審査を通過するといよいよ着工です。施主の手続きは落ち着きますが、工事の進捗確認は定期的に行うと安心です。そして最後に竣工・引き渡しとなり、建物の検査で不具合がなければ引渡しが完了します。
住宅ローンの審査で必要な書類
住宅ローンを利用する際は、仮審査と本審査の2段階で複数の書類を準備・提出する必要があります。両者では提出書類が異なるため、事前にしっかりと把握しておくことが重要です。
仮審査で必要な書類
まず仮審査では、主に「本人確認書類」「収入確認書類」「物件情報確認書類」「返済予定表・ローン残高証明書(借入がある場合)」「仮審査申込書」が必要です。本人確認書類は運転免許証やパスポート、健康保険証などで、有効期限内のものが条件です。
収入確認書類は、給与所得者なら源泉徴収票や直近3カ月分の給与明細(ボーナス分を含む)が必要となり、自営業者などは確定申告書3期分や納税証明書を提出します。物件情報確認書類には、土地の概要資料や設計図が該当します。さらに他社からの借入がある場合、返済予定表や残高証明書の提出も求められます。
本審査で必要な書類
次に本審査では、仮審査の書類に加えて「家族に関する書類」「印鑑証明書」「団体信用生命保険申込書」などが追加されます。具体的には、住民票(家族全員の記載がある発行3カ月以内のもの)、印鑑証明書および登録印の提出が必要です。
物件情報確認書類も詳細化され、工事請負契約書や土地売買契約書、重要事項説明書などが求められます。さらに団体信用生命保険申込書によって申込者の健康状態も審査対象となるため、健康面の確認も欠かせません。
住宅ローンの本審査で注意するべきこと
注文住宅を建てる際の住宅ローン本審査では、いくつかの重要な注意点を理解しておくことがスムーズな手続きのために欠かせません。
仮審査とは審査基準が異なる
まず、仮審査と本審査では審査基準が異なる点を理解しておく必要があります。仮審査では申込者の収入や借入希望額を中心に判断されますが、本審査では経済的状況に加え、健康状態や物件の担保価値など総合的な判断が行われます。そのため、仮審査に通過したからといって必ず本審査も通るわけではない点に注意が必要です。
本審査のタイミング・スケジュールを把握する
また、本審査のタイミングと住宅ローン支払いスケジュールを把握することも重要です。注文住宅は打ち合わせや家族間の決定事項など多くの作業を伴うため、スケジュール管理を怠ると手続きや支払いが滞り、工程全体がストップする可能性があります。
さらに、本審査結果が出る前に着工することは避けなければなりません。仮審査はあくまで概算の判断であり、本審査が通らなければ融資は実行されず、工事開始による資材費や人件費、違約金などのトラブルが発生する恐れがあります。
本審査前に貯蓄を切り崩さない
加えて、本審査前に貯蓄を切り崩すことも避けるべきです。貯金額は審査における重要な評価項目であり、仮審査時に評価された貯蓄が減少すると、本審査で不利になる可能性があります。また、本審査中に新たなローンを組んだり、クレジットカードを作成したりすることも避けるべきです。金融機関は返済能力を重視しており、新たな借り入れは審査に悪影響を及ぼします。携帯電話の割賦払いも他社借入に該当するため注意が必要です。
本審査中の退職・転職は控える
最後に、本審査中の退職や転職は避けるべきです。勤続年数の長さや安定した収入は審査に有利に働く一方で、退職や転職により収入が不安定と見なされると、審査が厳しくなり落ちる可能性もあります。
まとめ
注文住宅を建てる際の住宅ローンは、仮審査と本審査の2段階で手続きを進めるのが一般的です。まず予算や設計プラン、土地選びを行い、建築会社を決定して間取りや見積もりを作成します。その後、仮審査で融資可能額を確認し、通過後に工事請負契約を締結して本審査に進みます。本審査では、収入や貯蓄、物件情報に加え、家族に関する書類や団体信用生命保険申込書なども提出が必要です。注意点としては、本審査前に着工したり貯蓄を減らしたり、新たなローンや転職をすることは避けることが挙げられます。これらのポイントを押さえることで、スムーズに住宅ローンを実行し、安心して理想の住まいを手に入れることができます。